2015年6月23日火曜日

偶然ではなく、必然

ノウハウを情報として発信している人は多いですが、そのほとんどが情報を発信することが本業ではないと思います。
それ故、本人は情報として発信しているように思っていても、それが情報として成立していないことがほとんどです。

情報として成立していないとはどういうことか?

これは、もちろん伝え方や論理展開といった表現の問題もありますが、今回はそういうことではありません。
その情報に意図があるのかということです。

私は、出版のお手伝いを仕事としておりますので、本を出版したいという方が、たくさんいらっしゃいます。
そのほとんどが、自分が成功したので出版できると思い込んでいます。

もちろん、出版してどうにかなりたい人よりも、どうにかなったから出版して欲しい。
でも、そのどうにかなった過程に意図がなければ、それは情報としての価値がないということです。

多いのは、自分がやってどうにかなったので、その過程をノウハウとしてお伝えしたらいいと思っています。
しかし、重要なのはそこに意図があるのかということなのです。

どういうことかというと、その過程において、自分なりの仮説を立てて、検証を行い、成果が出たのかということ。

たんにやったら成功したというのであれば、それは偶然かもしれないし、運かもしれない、はたまた奇蹟かもしれません。
そうだとしたら、その情報に再現性がなく、そこには情報の価値はないということです。

実際、そういう人に原稿を書かせてみると、なぜそうなったのかを上手く説明できないため、薄っぺらい原稿になります。

逆に、しっかりと仮説を立てて、検証を行い、成果を出した人は、説得力のある原稿になるんです。
なぜそれをしなければならないのか、どうして成功したのかがしっかりと書かれているわけですからね。

なので、ノウハウを情報として発信される人は、是非、そのノウハウに取り組む前に仮説を立ててみてください。
「これをやったら、こういう理由で、こうなるんじゃないか」ということを考えて取り組むということです。
それで結果がでなければ、どこに問題があったのかを検証し、結果が出たら、逆のことをやってみて本当に失敗するのかを確かめてみる。
そうすることで、そのノウハウはしっかりとした裏付けを持つ説得力のある情報となります。

意外と、そういうことを考えずに、ただ自分の経験だけをベースに、あたかも成功ノウハウのように情報として発信する人が多いですからね。

情報を発信する場合は、必ず、仮説を立てて、検証を行い、成果を出してから、それを意図として情報を発信していきましょう。
そうすることで、読み手はあなたの情報に納得し、書き手であるあなたのファンになることは間違いありませんよ。

2015年5月22日金曜日

書店の変化に気づこう

私は、出版したいという方にアドバイスをしておりますが、必ず言うアドバイスが「書店に行って、自分の書籍が置かれる棚を定期的に見るようにしてください」と言っています。

理由は、そこにどんな本があって、どんな本がないのか。
どこに隙間となる企画があるのか、どういう本が目立つのか、今、流行っている本はどんな本なのか。
書店に行って、自分の書籍が置かれる棚をベンチマークして、定点観測をすることによって分かることが、非常に多いのです。
そして、そこから出版しやすい企画を考えることは、さほど難しくないんですね。

でも、これは出版に限ったことではありません。

ウェブであっても、自分の発信しているテーマの棚、自分がターゲットにしている人が行きそうな棚をベンチマークすることで、次に流行ることが分かるようになります。
次に何が流行るかが分かれば、先回りして情報を発信しておけば先行者利益を十二分に享受することができるわけです。

では、なぜ、書店なのか?

書店というのは、基本的に定価の15%が取り分。
その15%の取り分の積み重ねで経費を捻出し、利益を確保しています。
ということは、本を売れなければ書店は潰れてしまうということです。
そのために、書店は、今、何が売れているのか、これから何が売れているのかを考えながら、棚で平積みや面陳して目立たせる本を決めています。
つまり、そのラインナップが、今、売れている本、これから売れそうな本ということなのです。
しかも日々替わっていきますので、定点観測で継続的に変化の流れをつかむことで、これからの流れを予測することも可能だということです。

出版にせよ、ウェブにせよ、先を予測して先回りすることが何より重要ですからね。

直近の過去のニーズは、キーワードツールなどで見つけることができません。
でも、それは今より少し前の話しでしかありませんよね。
しかも、ツールは誰でも使えるので、みんなが同じ動きをします。
そこから抜け出すためには、人とは違う情報源を持たなければいけませんし、予測し先回りするノウハウも必要だということです。

そういう意味で、うまく書店を活用してみてはいかがでしょうか?
書店の動きは、本を購入するという対価の伴う環境下での情報の流れですから、かなり信憑性の高い情報を得ることができますからね。

ただ、書店には書店の顧客層があります。
ビジネス街の書店と町中の書店では、来店する層が違いますよね。
そうなると、当然、ラインナップも替わってきます。

なので、自分がターゲットにしている層が多く来店する書店をベンチマークするようにしたり、複数の書店に行って情報を収集すようにしてくださいね。
そうしないと、偏ってしまう場合がありますので。

2015年5月13日水曜日

文章のライティングについて

今、書店では文章の書き方に関する本が売れています。
売れていると、当然、そういう本の企画を出版社に求められます。

しかし、“文章の書き方”ってひと言でいいますが、実は奥が深い。
まぁ、日本語自体、奥の深いものですからね。

で、出版社の方と打ち合わせをすると…。

・共感を与えたい文章の書き方
・商品を売るための文章の書き方
・SEO対策のための文章の書き方
・難しいことを理解させる文章の書き方
などなど

こんな要望をいただきます。

確かに文章というのはひとつの括りですが、とてつもなく幅広く、目的に応じて使い分けられるものです。
それらをかなえる一冊なんて、作れる訳がありません。

そりゃ、それぞれに数多のテクニックは存在します。
網羅的にまとめて一冊にすることは難しいことではありません。

しかし、文章本を買う人は、文章を書きたくて本を買うわけじゃないんです。

書いた文章に共感してもらいたいから本を買うんです。
文章だけで商品を売りたいから本を買うんです。
検索結果で上位表示をしたいから本を買うんです。
相手に理解して欲しいから本を買うんです。

これらは、全てニーズが違いますし、選ぶ本も違います。
「みんなが文章の書き方に困っているから文章の本を出しましょう」では本は売れません。

文章はあくまでも伝えるためのツールです。
ツールである以上、目的を持って使わなくてはなりません。

ただの文章本では説明書と同じですからね。

何か情報を発信するのであれば、必ず、考えなくてはならないことがあります。
それは、スタートとゴールです。
つなまり、“どういう人”を“どうしたい”のかということです。
その橋渡しをするのが、文章の役目になります。
そして、スタートからゴールまでをどうつなぐのかがテクニックということです。

そこを深掘りして考えると、結局、文章のライティングというのは、“誰に”“何を”伝えるのかということなんです。
それ以上でも、それ以下でもなくね。

常に“誰に”“何を”伝えるのかを意識していたら、おかしな文章に絶対にはなりませんよ。

ということで、これから文章を書くとき、何かを発信しようと思ったとき、常に“誰に”“何を”伝えるのかということを意識してみてください。
それだけで、絶対に文章は変わってきますから。