2015年7月22日水曜日

編集者の必要性

弊社は、出版プロデュース会社としてソーシャルメディアでは活動しておりますが、本業は編集プロダクションです。
つまり、出版社の編集部の代わりとなって、本の編集を行う編集者軍団。

こういう仕事をしていて思うので、編集者の必要性ということです。

皆さんは、編集者の仕事というのは、何だと思いますか?

一般的には、企画立案、スケジュール管理、原稿依頼、原稿整理、原稿修正、校正、割付など、幅広い職務範囲を担当し、出版社や著者により、職務範囲が微妙に異なります。
ただ、これはあくまでも出版物の話しです。

私が編集者をしていて思うのは、出版物と他の媒体のクオリティレベルの違い。

出版物が圧倒的にクオリティレベルが高いのは、編集者の存在によるものなのではないでしょうか。
だって、著者が自分の書きたいことばかりをコントロールしているのも編集者、上がってきた日本語と思えぬ日本の文字の羅列をちゃんとした日本語に変換するのも編集者、読みやすい文章、見やすい誌面にするのも編集者ですから…。

そして、何よりも編集者が必要だと思うが、クオリティレベルの管理です。

これは実際にあった話しです。
著者さんは、情報商材などをたくさん出されていて、原稿は書き慣れている方でした。
そして、上がってきた内容もしっかりと読者目線になてますし、日本語としても問題なく、とても読みやすい原稿でした。

ただ、残念なことに、内容がちょっと薄い…。

そこで、私が「この原稿だとちょっと薄いので、もう少し、濃い内容にしてください」とお願いしました(もちろん、本人には具体的に書き足す内容を指示しております)。
ところが、その著者さんは「え〜、こんな感じで十分でしょ」と言われたのです。

もちろん、本の定価から考えれば、これぐらいでも及第点はもらえるレベルにあったと思います。
しかし、それでは、読者の読後感としては「まぁ、こんなもんかな」です。
でも、著者として本を出版する以上、読者には「この本はヤバイ!この著者さんは素敵だ〜」ぐらい言わせて欲しいと私は考えます。

なので、何度も、何度も、書き直しを依頼し、やっと仕上がり、本として刊行され、とても売れていて、レビューもいい感じについてます。
もちろん、メルマガの読者も増え、セミナーへの集客もでき、読者の多くが著者のファンになってくれています。
結果、そういう本を出せて、著者の方にも大変喜んでいただきました。

でも、これって、編集者がいなかったらどうなっていたでしょうか?

自分の物差しでクオリティレベルを判断し、そのまま出版していたら、このような結果は生まれていなかったはずです。
これだけいろいろと書き慣れている著者であっても、そのクオリティレベルを図りかねてしまいます。

逆にいうと、世のメルマガやブログ、情報商材、電子書籍など、ほぼ全てのコンテンツがそんな状態になっているように思います。

自分ではこれでいいと思っているレベルというやつですね。
ところが、そのレベルというのは、あくまでも及第点レベルであることが多く、読者をファン化させられるほどではありません。

そこを客観的に見て、自己満足のレベルから、さらにもうひとつ高いレベルに引き上げてくれる存在、そこに編集者の必要性を感じてしまいます。
何もプロの編集者である必要はありませんが、何かコンテンツを作った時、冷静な客観的な視点でクオリティレベルをチェックしてくれる存在を確保しておくことは、これからの時代に必要な気がします。

2015年6月23日火曜日

偶然ではなく、必然

ノウハウを情報として発信している人は多いですが、そのほとんどが情報を発信することが本業ではないと思います。
それ故、本人は情報として発信しているように思っていても、それが情報として成立していないことがほとんどです。

情報として成立していないとはどういうことか?

これは、もちろん伝え方や論理展開といった表現の問題もありますが、今回はそういうことではありません。
その情報に意図があるのかということです。

私は、出版のお手伝いを仕事としておりますので、本を出版したいという方が、たくさんいらっしゃいます。
そのほとんどが、自分が成功したので出版できると思い込んでいます。

もちろん、出版してどうにかなりたい人よりも、どうにかなったから出版して欲しい。
でも、そのどうにかなった過程に意図がなければ、それは情報としての価値がないということです。

多いのは、自分がやってどうにかなったので、その過程をノウハウとしてお伝えしたらいいと思っています。
しかし、重要なのはそこに意図があるのかということなのです。

どういうことかというと、その過程において、自分なりの仮説を立てて、検証を行い、成果が出たのかということ。

たんにやったら成功したというのであれば、それは偶然かもしれないし、運かもしれない、はたまた奇蹟かもしれません。
そうだとしたら、その情報に再現性がなく、そこには情報の価値はないということです。

実際、そういう人に原稿を書かせてみると、なぜそうなったのかを上手く説明できないため、薄っぺらい原稿になります。

逆に、しっかりと仮説を立てて、検証を行い、成果を出した人は、説得力のある原稿になるんです。
なぜそれをしなければならないのか、どうして成功したのかがしっかりと書かれているわけですからね。

なので、ノウハウを情報として発信される人は、是非、そのノウハウに取り組む前に仮説を立ててみてください。
「これをやったら、こういう理由で、こうなるんじゃないか」ということを考えて取り組むということです。
それで結果がでなければ、どこに問題があったのかを検証し、結果が出たら、逆のことをやってみて本当に失敗するのかを確かめてみる。
そうすることで、そのノウハウはしっかりとした裏付けを持つ説得力のある情報となります。

意外と、そういうことを考えずに、ただ自分の経験だけをベースに、あたかも成功ノウハウのように情報として発信する人が多いですからね。

情報を発信する場合は、必ず、仮説を立てて、検証を行い、成果を出してから、それを意図として情報を発信していきましょう。
そうすることで、読み手はあなたの情報に納得し、書き手であるあなたのファンになることは間違いありませんよ。

2015年5月22日金曜日

書店の変化に気づこう

私は、出版したいという方にアドバイスをしておりますが、必ず言うアドバイスが「書店に行って、自分の書籍が置かれる棚を定期的に見るようにしてください」と言っています。

理由は、そこにどんな本があって、どんな本がないのか。
どこに隙間となる企画があるのか、どういう本が目立つのか、今、流行っている本はどんな本なのか。
書店に行って、自分の書籍が置かれる棚をベンチマークして、定点観測をすることによって分かることが、非常に多いのです。
そして、そこから出版しやすい企画を考えることは、さほど難しくないんですね。

でも、これは出版に限ったことではありません。

ウェブであっても、自分の発信しているテーマの棚、自分がターゲットにしている人が行きそうな棚をベンチマークすることで、次に流行ることが分かるようになります。
次に何が流行るかが分かれば、先回りして情報を発信しておけば先行者利益を十二分に享受することができるわけです。

では、なぜ、書店なのか?

書店というのは、基本的に定価の15%が取り分。
その15%の取り分の積み重ねで経費を捻出し、利益を確保しています。
ということは、本を売れなければ書店は潰れてしまうということです。
そのために、書店は、今、何が売れているのか、これから何が売れているのかを考えながら、棚で平積みや面陳して目立たせる本を決めています。
つまり、そのラインナップが、今、売れている本、これから売れそうな本ということなのです。
しかも日々替わっていきますので、定点観測で継続的に変化の流れをつかむことで、これからの流れを予測することも可能だということです。

出版にせよ、ウェブにせよ、先を予測して先回りすることが何より重要ですからね。

直近の過去のニーズは、キーワードツールなどで見つけることができません。
でも、それは今より少し前の話しでしかありませんよね。
しかも、ツールは誰でも使えるので、みんなが同じ動きをします。
そこから抜け出すためには、人とは違う情報源を持たなければいけませんし、予測し先回りするノウハウも必要だということです。

そういう意味で、うまく書店を活用してみてはいかがでしょうか?
書店の動きは、本を購入するという対価の伴う環境下での情報の流れですから、かなり信憑性の高い情報を得ることができますからね。

ただ、書店には書店の顧客層があります。
ビジネス街の書店と町中の書店では、来店する層が違いますよね。
そうなると、当然、ラインナップも替わってきます。

なので、自分がターゲットにしている層が多く来店する書店をベンチマークするようにしたり、複数の書店に行って情報を収集すようにしてくださいね。
そうしないと、偏ってしまう場合がありますので。