2015年5月22日金曜日

書店の変化に気づこう

私は、出版したいという方にアドバイスをしておりますが、必ず言うアドバイスが「書店に行って、自分の書籍が置かれる棚を定期的に見るようにしてください」と言っています。

理由は、そこにどんな本があって、どんな本がないのか。
どこに隙間となる企画があるのか、どういう本が目立つのか、今、流行っている本はどんな本なのか。
書店に行って、自分の書籍が置かれる棚をベンチマークして、定点観測をすることによって分かることが、非常に多いのです。
そして、そこから出版しやすい企画を考えることは、さほど難しくないんですね。

でも、これは出版に限ったことではありません。

ウェブであっても、自分の発信しているテーマの棚、自分がターゲットにしている人が行きそうな棚をベンチマークすることで、次に流行ることが分かるようになります。
次に何が流行るかが分かれば、先回りして情報を発信しておけば先行者利益を十二分に享受することができるわけです。

では、なぜ、書店なのか?

書店というのは、基本的に定価の15%が取り分。
その15%の取り分の積み重ねで経費を捻出し、利益を確保しています。
ということは、本を売れなければ書店は潰れてしまうということです。
そのために、書店は、今、何が売れているのか、これから何が売れているのかを考えながら、棚で平積みや面陳して目立たせる本を決めています。
つまり、そのラインナップが、今、売れている本、これから売れそうな本ということなのです。
しかも日々替わっていきますので、定点観測で継続的に変化の流れをつかむことで、これからの流れを予測することも可能だということです。

出版にせよ、ウェブにせよ、先を予測して先回りすることが何より重要ですからね。

直近の過去のニーズは、キーワードツールなどで見つけることができません。
でも、それは今より少し前の話しでしかありませんよね。
しかも、ツールは誰でも使えるので、みんなが同じ動きをします。
そこから抜け出すためには、人とは違う情報源を持たなければいけませんし、予測し先回りするノウハウも必要だということです。

そういう意味で、うまく書店を活用してみてはいかがでしょうか?
書店の動きは、本を購入するという対価の伴う環境下での情報の流れですから、かなり信憑性の高い情報を得ることができますからね。

ただ、書店には書店の顧客層があります。
ビジネス街の書店と町中の書店では、来店する層が違いますよね。
そうなると、当然、ラインナップも替わってきます。

なので、自分がターゲットにしている層が多く来店する書店をベンチマークするようにしたり、複数の書店に行って情報を収集すようにしてくださいね。
そうしないと、偏ってしまう場合がありますので。

2015年5月13日水曜日

文章のライティングについて

今、書店では文章の書き方に関する本が売れています。
売れていると、当然、そういう本の企画を出版社に求められます。

しかし、“文章の書き方”ってひと言でいいますが、実は奥が深い。
まぁ、日本語自体、奥の深いものですからね。

で、出版社の方と打ち合わせをすると…。

・共感を与えたい文章の書き方
・商品を売るための文章の書き方
・SEO対策のための文章の書き方
・難しいことを理解させる文章の書き方
などなど

こんな要望をいただきます。

確かに文章というのはひとつの括りですが、とてつもなく幅広く、目的に応じて使い分けられるものです。
それらをかなえる一冊なんて、作れる訳がありません。

そりゃ、それぞれに数多のテクニックは存在します。
網羅的にまとめて一冊にすることは難しいことではありません。

しかし、文章本を買う人は、文章を書きたくて本を買うわけじゃないんです。

書いた文章に共感してもらいたいから本を買うんです。
文章だけで商品を売りたいから本を買うんです。
検索結果で上位表示をしたいから本を買うんです。
相手に理解して欲しいから本を買うんです。

これらは、全てニーズが違いますし、選ぶ本も違います。
「みんなが文章の書き方に困っているから文章の本を出しましょう」では本は売れません。

文章はあくまでも伝えるためのツールです。
ツールである以上、目的を持って使わなくてはなりません。

ただの文章本では説明書と同じですからね。

何か情報を発信するのであれば、必ず、考えなくてはならないことがあります。
それは、スタートとゴールです。
つなまり、“どういう人”を“どうしたい”のかということです。
その橋渡しをするのが、文章の役目になります。
そして、スタートからゴールまでをどうつなぐのかがテクニックということです。

そこを深掘りして考えると、結局、文章のライティングというのは、“誰に”“何を”伝えるのかということなんです。
それ以上でも、それ以下でもなくね。

常に“誰に”“何を”伝えるのかを意識していたら、おかしな文章に絶対にはなりませんよ。

ということで、これから文章を書くとき、何かを発信しようと思ったとき、常に“誰に”“何を”伝えるのかということを意識してみてください。
それだけで、絶対に文章は変わってきますから。

情報を発信するときに考えるべき優先順位

情報を発信する場合に考えなくてはいけないメリットと優先順位について書こうと思います。

誰でも、何か情報を発信する場合、常に誰かのためになることを意識します。
誰のためにもならない情報であれば、発信する意味がありませんからね。

では、その誰かは誰なのかということから考えてみましょう。

出版であれば、一番最初に思いつくのが読者ですよね。
そして、出版社、著者というところまでは容易に想像できると思います。

そして、もう一歩踏み込んで、社会ということまで意識してください。

情報は、読者が喜べば何でもいいわけではありません。
出版社にとっては売れなければ意味がありませんし、著者にとっては大変な思いをしてわざわざ情報を発信する以上、何かしらの見返りがないのであれば、やる意味がありません。

でも、それだけではなく、その情報を発信し、受け取った人間がそのコトを活かすことによって社会的に意義があるかということまで考える必要があるんです。

もし、自分が発信した情報を活用して、犯罪が頻発するような社会になってしまったら、どうでしょうか?

昔、「完全自殺マニュアル」という本がありました。
この本には、痛くない自殺の方法や死んだ後も誰にも迷惑をかけない自殺の方法、美しく自殺する方法などが書かれていたのです。
当時、中高生がいじめなどで自殺をすると、よく部屋の中からこの本が見つかったものです。

あまりにセンセーショナルな内容だったので、ベストセラーになりました。
売れたので出版社は大喜び、著者もテレビに引っ張りだこ、マニアな読者からも絶賛の嵐という状況だったのを覚えております。

しかし、その結果、この本を読んで安易に自殺をする若者が増えた事実もあります。

では、この著者は、本当にこの本を出版したことを後悔していないのでしょうか?

著者として、面白い本を作ろうとした結果、できあがった本なのかもしれませんが、このような影響を与えてしまった以上、決していい気持ちではないでしょう。
たぶんですが、こうなる予測はできたとも思うんです。

これは、ちょっと大げさな事例かもしれません。
もっと身近な事例をお話ししますね。

先日、某所で開催された出版企画勉強会で、ある方が業界の抜け穴を狙ったある方法の企画を提案されました。
(分かりやすくいうと、「出版社の弱みにつけ込んで出版する方法」みたいな企画です)

間違いなく、読者が知りたい情報です。
そして、売れそうなテーマなので、出版社に企画書を出せば間違いなく通るでしょう。

でも、この情報を表に出すということは、その本を読んだ読者が、みんなそのことを実行する可能性があるということです。
そうなったら、その業界に多大な迷惑をかけることになります。
そして、迷惑をかける原因を作ったその著者は、間違いなく、その業界から干されるでしょう。

結局、何がいいたいのかというと、何か情報を発信する場合、お金を出してくれる出版社、本を買ってくれる読者、そして、発信する本人である読者にとってのメリットを考えます。
ここまでは間違いではないのですが、もう少し視野を広く持って、その情報が広まった先に明るい未来があるのかどうかというとことまでを見据えて欲しいということです。

どうしても、コンテンツを作っていると、目先で関わる方々のメリットばかりを考えがちですからね。

少し肩の力を抜いて、ちょっとだけ視野を広げてみてください。
私は、自分の作った本は、娘に読ませても恥ずかしくない本しか作らないと決めています。
そうすることで、その情報を世に出す影響ということを、自然と意識するようになりました。

皆さんも、一度、そんなことを考えてみてください。

ソーシャルメディアがこれだけ普及した以上、これからは情報を発信する側の責任というものが、どんどん重くなるはずですよ。